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日本初の中距離プロチーム「阿見アスリートクラブTOKYO SHARKS」が『ハイペリオンエリート2』で記録に挑む!

2020.10.01(最終更新:2020.11.10)

日本初の中距離プロチームとして2年前に楠 康成選手1人の所属で発足し2020年、田母神 一喜選手と飯島陸斗選手が加わり3人となり始動した「阿見アスリートクラブTOKYO SHARKS」。オリンピックが延期となったコロナ禍で彼らはどのようなトレーニングをしていたのかそれを支えていたのは何だったのだろうか。

目次

  1. 中距離のプロチーム、2020年4月から始動
  2. コロナ禍でのトレーニング
  3. 中距離選手を支えるシューズたち
  4. 厚底シューズ『ハイペリオンエリート2』を履きこなす
  5. 進化し続ける走りとシューズ

中距離のプロチーム、2020年4月から始動

左から田母神選手、合宿中でリモート参加となった楠選手、飯島選手

茨城県阿見町を拠点とし、20年続く地域密着型陸上クラブ「阿見アスリートクラブ」。小さな子供から大人までもが所属するこのチームの中に、中距離のプロチーム「阿見アスリートクラブTOKYO SHARKS」(通称SHARKS)が発足。どういう経緯で誕生したチームなのか、3人に聞いてみた。

楠選手 高校卒業後、実業団で競技を続けていたのですが、実はそこには葛藤があって。自分が競技を引退したら子供の頃所属していた「阿見アスリートクラブ」に貢献したいと考えていました。そのために、現役である間、とにかく中距離の魅力を発信したいと。というのも、日本では中距離はあまり注目されませんが、海外のレースでは1500mという中距離種目はレースのとりであり、大いに盛り上がり、日本とはものすごくギャップがありました。それは日本の中距離界は専門のコーチが少ない、長距離や短距離の競技と掛け持ちしながら中距離もこなすという環境でなかなか中距離選手が育たないから。そんな環境をなんとかしたい、中距離の楽しさを発信して、子供にあこがれる選手になりたい、という思いがどんどん膨らでいったのです。しかしこれを続けるには実業団に所属していたのでは難しい。そう思ったときに、現チームの理事長である父に相談したところからプロチームの結成に至りました。その思いに父は戸惑いながらも、やがては理解し協力してくれたおかげでスポンサーが集まり、このチームの第一号にして唯一の選手として僕が所属したのが2018年のことでした。

飯島選手 楠さんとは同郷ということもあり、高校生の頃から気にかけてもらっていました。そんな中で大学三年のときに理事長からこのチームに誘われたのです。周りが就職活動をするなか、案外焦りはなく。僕自身も中距離選手の競技環境を変えたいという思いがあったので、チームの理念に共感し、不安よりも期待のほうが大きかったのを今でも覚えています。

田母神選手 高校生のときから飯島選手とはライバル関係で。高校三年生でU18の合宿メンバーに選ばれ3か月近くともに過ごした時期に交流を深めました。その後は別々の大学に進学しましたが交流は続いていて、やはり中距離の環境については時々話題に。こうして悩んでいるときに、大学の陸上部に所属しながら子供たちに陸上を教えたいな……と楠さんに相談したところ、「阿見アスリートクラブ」でサポートしてもらいその夢が叶ったのです。そのときにこのクラブ内の中距離専門チームであるSHARKSに誘われました。将来、地元福島で、ニューイヤー駅伝に出て優勝できるクラブチームを作りたい、その下部組織として中高生を教えたいという夢に近づけるのは、実業団より、SHARKSではないかと思ってこのチームへの参加を決意しました。

コロナ禍でのトレーニング

コロナ禍ではトラックを使えなかったのでロードでの練習も増えた

2020年4月から3人となったSHARKS。ところがその矢先、コロナの感染が拡大して、思うように活動できない時期に突入した。練習もままならない、当然試合も開催できないなかで、どのように過ごしていたのだろうか。

飯島選手 普段は世田谷を拠点に練習をしていますが、3月から「阿見アスリートクラブ」の本拠地である茨城で、僕と田母神、楠さんの3人で活動していました。正確には楠家の一部を借りての生活。そのなかで「阿見アスリートクラブ」の仕事に携わったり、所属する子供たちにオンラインレッスンをしたりすることもありました。自分の練習としては昨年から足のケガに悩まされていたので、強度を上げずに走る量を増やすトレーニングに変更。ケガの原因であるフォームを見直し、動きづくりに集中できた時期でした。通常1週間で70~80㎞走るところ、120~130㎞と走行距離を伸ばしました。本来なら4月となると試合が始まるので、こういう練習はできないのですが…。いまだかつてないほど穏やかで自分を見つめ直すいい機会になりました。

田母神選手 僕たちのチーム練習は週3回。それ以外は各自でジョグをしたり、補強練習をしたりと各自にゆだねられています。そんな中で僕も昨年からの故障があったので、ケガが治りきっていないまま試合があるからといって焦ってシーズンに入ることなく、ロングジョグや不整地での走りを取り入れながらのトレーニングをしていました。

楠選手 この時期はコーチにも会えなかったので、3人で河原に行き、練習はそれぞれ、行き帰りは一緒という感じだったんだよね。試合はなかったのですが、その分、「阿見アスリートクラブ」の活動に関わるなどして、今後のSHARKSの在り方についてもじっくり考える時間になったので、こういう時間がとれてよかったと思っています。

中距離選手を支えるシューズたち

スパイクを履かないときの練習では厚底シューズを使うのが今や中距離界でも常識!

ケガを治しつつ、質より量を求めて練習に取り組むなかで、重要だったのがトレーニングメニューの組み立てはもちろんのこと、シューズの履き分けだ。中距離選手にとっての勝負シューズはスパイクで、試合のときには競技場の地面に吸い付くように、それでいて弾むような走りをサポートしてくる。薄い、軽いスパイクは実は足への負担も大きい。だからこそ練習のときにはさまざまなシューズを履き分けているのだとか。

飯島選手 スパイクを履いての練習は試合近くでも週1,2回程度です。先日1カ月ぶりにスパイクを履いて走ったら2,3日ふくらはぎの疲労が抜けませんでした。それほどスパイクの足への負担は大きいのです。ジョグやロング走のときはしっかりクッションのある『ゴースト13』、ペースを上げて走るスパイクを履く直前では『ハイペリオン テンポ』、ペースを上げつつも長い距離を走るときは『ハイペリオンエリート2』と履き分けています。なかでも一番新しい『ハイペリオンエリート2』は足の療養期間に充てたこの時期にはなくてはならない一足でした。

田母神選手 ボクも陸斗と同じような使い方をしているのですが、ゆっくり長く走る練習から速く短く走る練習に移行するにつれて、『ゴースト13』、『ハイペリオン テンポ』、『ハイペリオンエリート2』と変えていきます。なかでもヘビーローテーションで使っているのは『ゴースト13』です。

楠選手 僕も飯島選手と似たような履き分けですね。でも今までは厚底シューズよりも、薄さ軽さにこだわって地面からの反発を得られることを重視してシューズを選んでいたので、自分にとっては厚底の『ハイペリオンエリート2』は新たな試みにもなりました。

厚底シューズ『ハイペリオンエリート2』を履きこなす

前足部の上がりやアウトソールのカーブが足の運びをスムーズにしてくれる『ハイペリオンエリート2』

中距離選手はレースペースで走る練習以外に、動きを意識できるジョグ、体幹を安定させる不整地、リズムよく走れるようにするテンポ走など練習内容は実にバラエティに富んでいる。そんな練習のなかで、チーム内でも話題沸騰の『ハイペリオンエリート2』をどのように履きこなしているのだろうか。

楠選手 発売になったばかりの『ハイペリオンエリート2』は今履いているシューズの中では劇押し。でも実は今まではカーボンプレートの厚底シューズを今までうまく履きこなせませんでした。僕はクッションよりも薄さ、軽さを求めて地面からの反発を感じながら走るのが好きなんです。クッションが厚いと大切な反発が感じづらい。もともとは足裏全体で着地するのが僕の走り方なので、厚底だと着地の感覚もわかりづらいのです。ところが『ハイペリオンエリート2』や『ハイペリオンテンポ』を履くようになって、足の前のほう(前足部)で、しかも体の真下に着地しつつ、反発をもらってスムーズにもう一方の足が前に出る感覚が味わえました。これはクッション性もありながら軽量で反発性もあるミッドソール素材の「DNA FLASH」ならではの着地の感覚だと思います。

飯島選手 1キロ3分20秒くらいで走るペース走ではすっかり『ハイペリオンエリート2』にお世話になりっぱなし。自分の走りをいいペースに乗せてしまえばあとは勝手に足がついてくる。また前足部が上がっているので、推進力を生んでくれて効率のいい走りをする動きを体に覚え込ませるには最適。だからこのシューズがないと困ります…。

田母神選手 とにかく速くラクに走れちゃう。ジョグをしていても足の運びがスムーズなので、走りの動き作りをするシーズン入りしたての頃は頻繁に履きます。試合シーズン近くなると、スピードを強化しつつこのシューズで走った感覚をほかのシューズでもできるように体に覚え込ませています。そうすることでスパイクを履いたときも同じような感覚で走れるからです。

一旦立ち止まってからの再スタート。今後の目標は?

毎年の春シーズンとは違った練習をした3人。それぞれに収穫があったようで徐々に再開されつつある試合に向けて、夏から仕上げに入っているという。そして秋の試合は来年の東京オリンピックの選考が始まる。そんななかでモチベーションを高めるために、どのような目標を持って走りに挑んでいるのだろうか。

楠選手 来年の東京オリンピックの年は28歳の年。生涯のうちで一番油が乗っている時期だと思うのです。だから僕の陸上人生をかけて集中したい。そのためには10月の大会では1500mを走ってそれまでにスピードを強化し、そして昨年から始めた3000m障害のオリンピックの選考が始まる12月の日本選手権では、東京オリンピックの出場権を狙っていきます。

飯島選手 照準を合わせたいのが5年後のパリオリンピック。ここでファイナリストになるためには、まず60年間もぬり変えられていない中距離の日本記録を更新。そして東京オリンピックへの出場権を手にすることです。その経験がパリで生きてくるはず。目下の目標は日本記録更新です。

田母神選手 まもなく始まる日本選手権ほか5本のレースが東京オリンピックの選考会です。ただ去年優勝したアジア選手権のポイントも有効なので、それを無駄にしないように着実にポイントを狙って東京オリンピックの出場権を得たいです。来年年明けから海外レースもスタート。そこで800mのレースのかけひきを磨いてこようと思います。

楠 康成

茨城県阿見町出身。竹来中学校、東洋大学附属牛久高等学校、小森コーポレーションを経て、「阿見アスリートクラブTOKYO SHARKS」チーム第一号選手となる。 2017年には拠点を単身アメリカに移し、ロンドンオリンピック1500ⅿ銀メダリスト、レオマンザーノのもとでトレーニングをし、2018年帰国後小森コーポレーションを退職しSHARKS加入。 1500mで日本選手権準優勝の実績をもつが、2019年シーズンより3000m障害に挑戦。2戦目の2000m障害にて日本最高記録を更新。2020年は日本選手権優勝、東京五輪標準記録突破を目指す。

田母神 一喜

福島県出身。郡山第二中学校、学法石川高校、中央大学を経て2020年、「阿見アスリートクラブTOKYO SHARKS」に加入。 高校時代はインターハイ1500m優勝、世界ユース7位(ともに2015)の実績を持つ。大学入学後も日本選手権1500m第3位(2018)の成績を残すなど、中距離種目を中心に活躍。 2019年中央大学では主将をつとめ、箱根駅伝に向けて長距離(ハーフマラソン)に挑戦して長距離の強みを身につけつつ、持ち前のスピードに磨きをかけ、2020年は日本選手権初優勝を目指す。

飯島 陸斗

茨城県出身。友部中学校(笠間市)、茨城県立緑岡高校、早稲田大学を経て2020年、「阿見アスリートクラブTOKYO SHARKS」に加入。インターハイ800m優勝(2015)、大学3年次には日本選手権800m第3位(2018)の実績を持つ、800mのトップ選手。恵まれた体格を生かしたダイナミックな走りが持ち味。 2020年は日本選手権優勝が目標。目標はパリオリンピックのファイナリスト。

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