ブルックスカレッジ

2018.08.20

レース

サブ4するための『モノ・カラダ・プラン』プラン編(練習法則と本番対策)

サブ4するための『モノ・カラダ・プラン』プラン編

 トップランナーのトレーニングパートナーとしての経験もあり、市民ランナーに長きに渡って指導経験もある白方健一さんに「サブ4」をテーマにお話をお聞きするシリーズの最終回はプラン編です。
 これまでお伝えしてきたのは、サブ4するための『モノ・カラダ・プラン』の考え方と、『モノ編』と『カラダ編』でしたが、より実践的な白方流プランとは?

白方健一コーチのプロフィール

Top GearRCの代表/ヘッドコーチ トップギアインターナショナル合同会社 代表社員 ロンドン五輪マラソン代表藤原新選手や吉田香織選手(北海道マラソン優勝)トレーニングパートナーの経験を持つ。自らもこれまでフルマラソン50回以上走りフルマラソンだけでなく、ウルトラマラソンやトレイルランにも挑戦している。東京を中心に神奈川、広島で2007年よりランニングクラブをスタートし、ランニングクリニックなどを含め年間のべ約2000名を指導する経験を持つ。



目次

練習法則

本番対策

マラソン力の現状把握をする方法

練習法則

3つの練習法則

『モノ』『カラダ』と続いてきたこのシリーズ、ラストは『プラン』です。

白方:プランは大きく言って「練習メニュー」と「本番」の2つの組み立てがあります。

まずは、練習メニューからお願いします。

白方:先に少しだけ考え方の答えを押さえておきましょう(笑)
マラソンパフォーマンスアップの練習とはあなたの課題解決のための“刺激と適応”を起こすことなんです。カラダに刺激を与え、それに適応していく。刺激が弱ければパフォーマンスの向上は見込めませんし、刺激が強すぎてカラダが適応しなければ怪我に繋がります。
自分の実力と目的に合わせて“刺激と適応”のバランスを考えた練習メニューを組み立てましょう。

なるほど。では、具体的にどういうメニューがありますか?

白方:そうですね、いくつか分けて取り上げて説明してみますね。

1.メリハリを意識する期分け(ピリオダイゼーション)

白方:1年間をいくつかの「期」に分けて組み立てる考え方です。目標とするレースをターゲットに、準備期間→鍛練期→レース期→移行期といったように1年を目的に合わせて4〜8週間程度の期間に分けていくつかの練習プログラムを優先したり強化して組むのが一般的です。

白方:マラソンレースは秋から始まり、冬がハイシーズンになるのが一般的ですので、サブ4のターゲットレースを設定し、そこから逆算したプランを立てると良いと思います。例えば、夏は…秋は….レースがある冬は…のように、期分けをして前のシーズンの振り返りなどをしながら成長のプランを立てるわけです。そして課題解決(後半失速やスピード)はすぐには変わりません、段階的なトレーニングで高めていく必要があるので1つの課題(故障しない、後半失速しない)に述べ3ヶ月程度、1回のトレーニングごとに少しの工夫を丁寧に時間をかけていくようにイメージすると確実です。

2.怪我せず距離を伸ばすコツは1.25倍〜1.5倍

白方:サブ4に向けて走る量を増やそうとする人は多いと思います。まず現状を把握した上で月間の走行距離や1回の最長走行距離の増やし方は私の経験則から、1.25倍〜1.5倍くらいが距離の伸ばし方だと指導しています。先ほどの月間100kmの人は125km〜150kmくらいが目安ということになります。

白方:1日に10km走っていた人が急に20km走り込んだり、2倍以上もの月間走行距離を目指したりすると、どこかしら故障を抱えるので、徐々に増やしていくことを心がけてください。また、距離や負荷を伸ばす事ばかりに目を向けず、頑張った週の翌週は腹八分のトレーニングの週にするなど回復も意識しておきましょう。

3.無駄を減らすトレーニングバランス

白方:自己ベストが4時間15分とか、サブ4まであと少しという人がいると、スピード練習をたくさん入れたくなります。スピード練習にだけにとどまらずランナーはもしくは過去に速くなった方法ばかり追ってしまい練習が偏っていく傾向にもあります。確かにスピード練習のような高強度なトレーニングメニューは必要かもしれませんが、サブ4を目指すランナーはそれほど必要ありません。

そこで大切なのではバランスです。週に2回(平日に1回、週末に1回)程度の頻度で走っている人を例にトレーニングバランスの目安をお伝えしますと

ジョグ60%+中強度30%+高強度10%」ぐらいが適切です。
ここでいうジョグはおしゃべりしながら走る程度の有酸素性の運動を指します。中強度メニューは、マラソンレースペースで走る「ペース走」や「ビルドアップ走」です。高強度はハァハァと心拍を上げるようなスピード練習のことです。

暑い夏場などで工夫できる練習の仕方はありますか?

白方:あります。夏場に限りませんが、少し長く感じるけどこれ以上できないところまで走らない。これくらいのトレーニング量を僕らは“おいしい距離”と呼んでいて、まさに腹八分ですね!それと、夏場向きの中・高強度トレーニングの方法があります。それはこまめに休憩を入れた「分割走」です。

「分割走」って何ですか?

例えば以下の例があります。

【分割走1】 3分間走 →休憩1分 →3分間走 →休憩1分 →3分間走

マラソンレースペースで3分走って、休んで、またレースペースで3分走るという方法です。3セット程度から始め追い込みすぎないように気をつけてください。

【分割走2】 [ 200m →休憩1分 →30分JOG ] ×2〜3セット

200mの高強度メニューを入れるのがポイントです。 このように短時間で集中して行うトレーニングですね。日々のコンディションも違うわけですから、練習の選択肢を増やすと良いと思います。

本番に弱い“自滅派”対策

本番対策

レース本番についてなんですが、本番に弱い人っているじゃないですか。克服方法はありますか?

白方:結論から言うとランナーの傾向に対策をしていないか対策のミスマッチがおきていると言う事です。そこがまたマラソンを難しくさせるわけですが、意外と単純なところで詰めが甘いというか、せっかくしっかり練習を積んできたのに、本番力が足りなくて失敗する人を何度も見てきました。そういった経験の中でいくつか傾向があるんですよ。

失敗する人特有の傾向ですか?

白方:そうなんです。まずは、普段と違うことをしてしまう人。レース直前っていろいろ不安に襲われます。試験前みたいにね。不安を解消するために普段通りに過ごさず、フォームやシューズ、練習の距離伸ばしたり、食べ物やサプリを変に変えてしまったりといった余計なことをしてしまうんです。その原因のもう一つに大会当日独特の「緊張」もあります。

そういった「不安」や「緊張」を少しでも減らす方法はありますか?

白方:そうですね……「経験値を増やす」の一言につきますね(笑)。具体的には、ハーフマラソンなどを含めたレース頻度を増やすことである程度経験値は高まりますが、練習で当日のシミュレーションをすることも大事です。レース前日の過ごし方、当日と同じ時間に起きて、走ってみる、気象変化への慣れ、これらも立派なシミュレーションです。
一方、緊張の方ですが、人はなぜ、緊張をするのだと思います?

「失敗したくない」という気持ちがあるから……

白方:そうです。結論としてはできるだけ低めのハードルをたくさん超えたほうがいいと言う事です。人は高い目標を掲げると失敗が怖くなります。そこで緊張が生まれます。ある程度の緊張は効果的ですが課題があるのであれば目標設定を含めて適切か、見直しても良いかもしれません。そして、場数を踏んでレースに対する“特別感”を薄めるのも手です。

“後半失速派”対策

レースの後半に失速する“失速派”の人って多いと思うんです。この対策はありますか?

白方:事前対策と本番対策の両面で説明しましょう。

事前対策に有効なのは峠走!

峠走(ロードのウップダウンを繰り返すロング走)と聞くと心肺機能のトレーニングだと思うかもしれませんが、失速対策にもなります。前回の「カラダ編」でもお伝えした通り、坂道の登りは動作効率を上げ、姿勢の矯正に有効です。一方、下りは、当然スピードが速くなりますよね。これはネガティブスプリットの練習にもなるんです。足の感覚としてロングで行うとマラソン後半の状態に近い感覚を味わうことができます。あまりペースを意識せず一定の余裕を持って走ること心がけましょう。

ネガティブスプリットの練習が本番の失速対策になるんですね?

白方:その通りです。練習でカラダに記憶させるのが第一段階で、第二段階はネガティブスプリットでフルマラソン本番を、走ってみる経験を持つことをお勧めします。

それは、どうしてですか?

白方:レースにおけるマラソン力の現状把握をするためです。サブ4目標ならキロ6分で走ってラスト5kmあるいはラスト10kmでペースアップする。これでどれだけ上げられるかで可能性や課題が見えます。

でも、多くのランナーは前半より後半の方がペースが上がるネガティブスプリットを想定していない……

白方:はい。そう言う意味で今までのラップの質を見ることも大事です。レースは水ものなので実際は天候だってわからないわけですよね。風が強い、雨が降る、ドピーカンで暑い、様々な気象条件が起こりうるわけで、それに練習状況やその日の体調が影響するわけですからそれらに合わせたレースパターンを複数持つことは、先に出ました「不安」や「緊張」の対策にもなります。

本番力を高めるためには、小さな成功体験を積み重ねることを意味しますね!

白方:まるで会社の先輩や上司に言われること、あるいは後輩に言うセリフのようですが、マラソンも仕事のように現状を把握し、その現状を素直に受け入れ、課題を抽出し対策を練り、その対策を実行し、効果をチェックする。このサイクルをマネジメントすることなんです。

上記であげたメニュー以外に、サブ4向けの練習メニューや入れておきたい知識はありますか?

白方:数値的に理解する現状把握という意味で3つほどお伝えします。

マラソン力の現状把握をする方法

Ⅰ. 12分間走

競技場など距離がわかる場所を選んで、よーいドン!で12分間で何メートル(あるいは何キロ)走ったかを計測します。ペースは、12分間全力疾走もしくは全力に近いペースで走りきる必要があります。実は12分間走をすることで、フルマラソンのおおよその目標タイムが予想できるんです。そして、最大酸素摂取量(VO2max)という持久力を調べるテスト方法でもあるんです。

Ⅱ. 最大酸素摂取量(VO2max)

サブ4を目指す人には難しい話かもしれませんが、知識として理解しておいてほしい言葉なのです。私たちの身体は、口から酸素を吸い、その酸素を肺でガス交換を行い心臓へ送り、心臓が各組織(筋肉等)へ届けます。そして、各組織でいらなくなった二酸化炭素とガス交換して、口から二酸化炭素を吐きだし、また新しい酸素を取り込みます。身体や筋肉を動かす時、酸素をどれだけ取り込めたのか、はとても大事なんです。この能力を表す指標が「酸素を取り込む能力=最大酸素摂取量(VO2max)」で、下記が最大酸素摂取量の計算式です。

  最大酸素摂取量(ml/kg/分)=12分間の走行距離(m) X 0.021 – 6.61

Ⅲ. VDOT

あまり聞きなれない言葉かもしれません。アメリカのランニングコーチ、ジャック・ダニエルズ氏が提唱したランナーの“走力指標”のことで、フルマラソンのゴールタイムを推測したり、練習の適切なペースを知る事ができます。ダニエルズ氏の指標だと、サブ4のVDOTは「38」となり、ダニエル氏の理論による各ペースでの練習の目的・効果は、次の通りになります。

Eペース:6分35秒/km
目的:ベース作り、ウォームアップ・クールダウン時
Mペース:5分41秒/km
目的:マラソンのレースペース
Tペース:5分19秒/km
目的:運動の強度を上げて持久力向上
Iペース:4分54秒/km
目的:最大酸素摂取量を向上させ、有酸素能力を向上させる
Rペース:54秒/200m、1分50秒/400m
目的:スピード(ストライド距離・ピッチ数)が速くなる。「燃費」が良くなる

なんだか、専門的な話になって、追いつかない人も出てきそうですけど、ただ漠然と走るだけでなく、意味と目的をきちんと持った上で取り組むことは大事そうですね。

白方:運動歴の有無とか、体重とか、他の要素も絡んですぐにサブ4できてしまう人もいますし、そこは個人差がありますが、考え方や組み立て方の基礎は大きく変わりません。また、知識を正しく理解しておくことは怪我の防止につながります

せっかくマラソンが趣味になったのですから、怪我をせずに生涯スポーツとして愛してほしいですよね!

白方:その通りです。僕のようなコーチの立場は、速く走らせることが仕事だと思われがちですが、それは実業団選手とかが主であって、一般の市民ランナーの皆さんは、怪我なく長くこのスポーツを楽しんでもらいたいのが本心ですね。

まとめ

 サブ4するための『モノ・カラダ・プラン』として3回に分けてお届けしたこのシリーズ、いかがでしたでしょうか?
42.195kmのフルマラソンを4時間以内で走りきる「サブ4」は、上位20%程度が達成する“一人前のランナーとしての勲章”と呼ばれ、マラソンを始めた人の最初の壁、あるいは最初の目標とされます。

その目標のために必要な『モノ・カラダ・プラン』。特に、サブ4が視界に入ってきた4時間前半くらいのタイムの人、あるいはタイムが伸び悩んでいる人は、白方流サブ4するための『モノ・カラダ・プラン』の中からヒントを見つけてもらえれば嬉しく思います。

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